コラム

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愛知県弁護士会シンポ 「死刑廃止を考える日2023」 に参加して

はじめに

2023年12月2日 (土) 午後1時から4時半まで、愛知県弁護士会館の5階ホールで、副題を 「袴田事件の再審開始と再審無罪を通して、死刑冤罪を考える」 とする標記のシンポジウムが開催された。私は、愛知県弁護士会死刑制度廃止委員会の一委員として、このシンポの準備に携わった。以下は、当日のシンポに参加した感想である。

ビデオ上映

冒頭、ビデオ 「凍りついた魂……袴田巖に襲いかかった死刑冤罪」 が上映された。その後、袴田巖さんのお姉さんである袴田秀子さんが挨拶され、長期にわたる拘置の結果、袴田巖さんが精神を病んでしまった生々しい事実が語られた。その中で語られた 「死刑の恐怖にさらされて48年間入れられていたら、そうなりますよ。」 という言葉が、私の頭に焼き付いた。

袴田秀子 (はかまだひでこ) さんの挨拶

90歳を過ぎているとはとても思えない、かくしゃくとした出で立ちで、力強く前のめりになって訴えられる姿に感銘を受けた。これまで、写真や動画等で拝見することはあったが、直接お会いしてお話する機会を得たのは今回が初めてだった。

信念を貫いて、明るい未来に希望と展望を失うことなく、常にユーモアを絶やさず頑張り抜かれていることが、この若さの秘訣なのだろうと思った。

会場からは、割れんばかりの大きな拍手が巻き起こった。小生はというと、歳のせいか涙腺が緩むのを感じてしまった。

角替清美 (つのがえきよみ) 弁護士の講演

袴田事件といえば角替弁護士というほど、すっかり定番となった感がある。いつもながらの毒舌 (失礼) を交えた、鋭くて分かりやすいお話に、聴衆は大満足の様子だった。

事件発生1年後に味噌樽の底から発見された5点の衣類が捜査機関によって捏造された疑いがあること、その中のズボンは小さすぎて袴田さんがはけなかったこと、などの話は私も以前から知っていた。しかし、初めて聞く話もあって、大変勉強になった。

たとえば、検察官が嘘をついていたという話があったのであるが、具体的にご紹介できないのが残念!!

葛野尋之 (くずのひろゆき) 教授の講演

続いて、葛野尋之青山学院大学教授から 「袴田事件から見た現行死刑制度の問題点」 と題する講演があった。

主な内容は、①誤判の可能性がある以上、死刑は廃止すべき、②死刑執行を待つ拘置の残虐性、③再審開始決定と死刑・拘置の執行停止、④再審請求中の死刑執行の違法性、等であった。

非常に実践的で分かりやすいお話だった。全て勉強になったが、特に印象に残ったところをあげると、①死刑制度に関する団藤・植松論争、②再審開始決定と同時に拘置の執行停止も決定すべき (2014年3月27日の静岡地裁の決定は画期的) 、③憲法13条から 「誤判を免れる権利」 を導き出すことができる、等である。

質疑・応答

最後に、来場された3人の市民の方から質問があった。全部をご紹介することはできないが、一つだけ例をあげれば、 「今日の話を聞くと、普通の一般市民が冤罪の被害に遭ってしまうことがあるように思った。これを避けるためにはどうしたらよいか。」 という質問があった。非常に鋭い問題意識で、このシンポに参加してそこまで考えていただけたことに感銘を受けた。その他の質問も、いずれも的確で素晴らしいものだった。

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