コラム

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豊川幼児殺害事件(再審請求)の学習会(第2回)で 講師を務めました

2025年4月19日(土)、昨年に引き続き、2回目の「豊川幼児殺害事件」学習会が豊川市文化会館2階大会議室で開かれ、ここでも講師を務めました。
この事件は、一審で無罪だったにもかかわらず、二審の名古屋高等裁判所が懲役17年の有罪判決をし、最高裁への上告も棄却されて、高裁の有罪判決が確定したものです。その結果、被告とされたTさんは服役し、出所後に再審請求をしています。

この日の学習会では、逆転有罪とした高裁判決の問題点を詳しく解説しました。その要点は、以下のとおりです。

1 この事件では、直接的な物的証拠や客観的証拠は一切なく、あるのは自白だけです。
2 高裁判決も、Tさんの自供には疑わしい点が多々あることを認めています。
3 そこで高裁判決は、Tさんが犯人かもしれないと言うことができる情況証拠がないか詳しく調べました。しかし、検察官が主張した情況証拠は全て、Tさんが犯人だと言えるようなものではないとして、却下しました。
4 ところが、高裁判決は、Tさんが二つの点について嘘を言っていたとして、そのことを最大の根拠として有罪判決をしました。
5 しかし、うち1点は、嘘ではありません。現に、一審判決は、Tさんの供述の方が正しいと認定しています。
6 もう1点は、「弁護人に対しても嘘を言ったことがある。」というものですが、その嘘というのは、もうすでに嘘だということがばれてしまっているもので、しかも、ちょっと調べればすぐに嘘だとばれてしまうような性質のものです。真犯人が弁護人を騙すつもりなら、もう少しましな嘘を考えるだろうと誰もが思うようなものです。ここに、その場の状況で、つい軽い気持で真実と異なることを話してしまうことがある、Tさんの供述弱者としての性格がよく現れています。
7 イギリスでは、被告が嘘をついたということを有罪の根拠にすることは厳しく制限されています。それを有罪の根拠にすることができるのは、①被告も嘘であると認めているか、それが嘘であることが間違いなく完璧に立証されていること、②被告が有罪であることを隠すためにあえてそのような嘘を言ったものであると確信することができ、それ以外の理由ではないことが完全に立証できていること、という2点が必要であるとされています。
8 このイギリスの判例法によっても、Tさんが無罪とされるべきことは明らかです。

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